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HOMEMENU

宇宿さんのCDを聴こう

異論は承知の上であるが、音楽はライブで聴くのが一番であると思うし、宇宿氏も同様のことを言われる。ライブで聴くような、会場を包み込む空気や熱気そして緊張感など、そうした部分においてCDではどうあがいても適わない。しかし、だからと言ってCDを聴いて得られる感動が偽物だとは思わない。それはやはり素晴らしい芸術作品に触れる事に、何らの変わりはないのであるから…。

 

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宇宿允人の世界T

モーツァルト:交響曲第35番“ハフナー”

ブラームス:交響曲第1番

1992年12月15日 東京芸術劇場

宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

モーツァルト:交響曲第35番“ハフナー” ★★★(oo2392oo) ★★☆(who_sen)
ブラームス:交響曲第1番 
★☆(oo2393oo) ★★★(who_sen)

 このCDは、ブラームス1番の熱血演奏が殊のほか評判になっているようです。しかし、 このCDの素晴らしさは、むしろ1曲目のモーツァルトのハフナーの方にあるようです。このハフナーの演奏は、古典としての造形の深さと格調の高さ、そして雄大さという点で際立っており、最新のCDであるベートーヴェンの8番に匹敵すべき名演だと考えます。宇宿さんのモーツァルトの演奏は、総じてよいものが多いですが、ロココ調の優雅さよりも厳格さを特色とした演奏で、その造形の厳しさが秀逸です。ちなみに7月の紀尾井ホールの39番も同様なスタイルでした。
 さて、ブラームス1番ですが、極めて燃焼度の高い主情的な演奏で、その点ではフランクの交響曲と双璧でしょう。序奏などそのおどろおどろしい響きに、これから何が起こるのかと圧倒されてしまいそうです。が、情念が先行しすぎていて全体的にもやや押し付けがましさが目立つようです。聞き疲れするようなところがあります。(oo2393oo)

 1曲目のモーツァルト交響曲35番「ハフナー」は、堂々としたなかに確固とした造型に裏付けられた名演であると思う。堂々とした音楽作りであるが、と言って過剰といえるような音作りは特にせずバランスを心得ているため、風格と威厳の表出があり、堂々感と相まって王者の雰囲気すらある。後半楽章のリズムの良さも秀逸。総じて格調高く上質な古典音楽に仕上がっている。
 そして2曲目のブラームスの交響曲1番だが、冒頭の響きは猛々しい。金管やティンパニーが心臓に響く。全体を通してみると膨らむような重めの響きではなくシャープな響きであり、強拍は切れ込むような感じ。と言ってあまり軽くせずに重量感も出しながら、明快な音作りと重厚さとを両立させた音作りとなっている。猛々しさに目のいきやすい演奏ではあるが、私自身はそういった猛々しさに囚われすぎると、かえってこの演奏の真価を見誤るような気がする。むしろそんなに荒々しさを前面に押し出すのではない部分、例えば木管のソロなどに特にメッセージ性を感じる。心の奥底にしまわれている“哀しみを感じる神経”のようなものが揺さぶられるようなものがある。その息も詰まるような一歩抜きん出た内面的表現。人間がその業の深さと真正面から向き合うときの、そんな厳しさを思わせるような演奏である。(who_sen)

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宇宿允人の世界U

ベルリーズ:序曲「ローマの謝肉祭」
シベリウス:交響詩「フィンランディア」
チャイコフスキー:交響曲第4番

1993年2月12日 東京芸術劇場(ベルリオーズ、シベリウス)
1992年6月24日 東京芸術劇場(チャイコフスキー)

宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

ベルリーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 ★★☆(oo2393oo) ★★★(who_sen)
シベリウス:交響詩「フィンランディア」 
★★(oo2393oo) ★★(who_sen)
チャイコフスキー:交響曲第4番 
★★☆(oo2393oo) ★★(who_sen)

 宇宿さんのチャイコフスキーの交響曲では、実演を含めて、この4番が一押しの演奏と考えます。何よりもテンポの設定がよく、しかも安定しています。オーケストラの精度も高く、金管、とりわけホルンの響きが素晴らしい。折り目の正しい演奏でありながら、そこには何か重たい荷物を背負い込んだ求道者としての宇宿像を感じずにはおられませんし、2楽章のトリオのブァイオリンの響きなどには、思わず目頭が熱くなってしまいます。音楽に対する宇宿さんの思い入れ、いわば主情性と、そして音楽の造形が、うまくバランスがとれているという印象で、何よりも押し付けがましさが余り感ぜられません。終楽章のコーダでは、アッチェレランドをかけるのですが、わざとらしさがなく、圧倒的なクライマックスの創造に成功したと考えます。
 ローマの謝肉祭も、音楽が明瞭感に富み、実に生き生きとしている。小品ながら見事な演奏だと思います。
 フィンランディアは、ある意味でもっとも宇宿さんらしい演奏というべきでしょうか。前半では、フレーズを押し込むように演奏し、そこで一旦音楽が途切れています。カラヤンなどの演奏を聞くと、レガート風で極力音楽が途切れないようにしています。また、中間部でのなだらかな旋律は、年配の方ならご存知の「海ゆかば」を聞いているような気分にさせられてしまいます。宇宿さんのスタイルは日本人的な奏法というべきでしょうか。(oo2393oo)

 このローマの謝肉祭は音楽の展開が自然で無理がなく、造型感にも優れる。俊敏で活力があり、しかも喜びに溢れた演奏である。ただそれは、底抜けのお目出度いだけの歓びなどではなく、実に味わい深いものがある。お祭り騒ぎの中にも、生きることへの喜びや感謝の念が伝わってくる。真に悲しみを表現できてこそ、初めて許される表現なのではないかとさえ思わせる。
 2曲目のフィンランディアであるが、序奏では一音一音を区切るように、思いを噛締めるかのように演奏される。が、そこで表現される悲しみの表情は変にドロドロするような情緒過多なものとまではなってない。展開部ではめくるめく感もあるが、一定の節度を保っている。変な言い方をして恐縮だが“ドカスカジャン”の爆演では全くない。自然で無理がないという点で、1曲目のローマの謝肉祭と通じる表現である(ちなみにこのふたつは同じ日の演奏)。
 メインとなるチャイコフスキーの交響曲4番は、全篇を通してほの暗さに包まれた演奏である。特に一楽章では、そのほの暗さが異様なまでによくマッチして素晴らしい演奏となっている。2楽章冒頭のオーボエのソロは物哀しく、しかも美しく、なかなか得がたいものがある。4楽章は、それだけを取り出して聴くとテンポが遅すぎるように感じるのだが、きちんと前の楽章から通して聴くとさほどには感じない。クライマックスでは壮大なスケールを創造する。(who_sen)

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宇宿允人の世界V

モーツァルト:交響曲第40番

ブラームス:交響曲第2番

1994年10月26日 東京文化会館大ホール

宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

モーツァルト:交響曲第40番 ★★(oo2393oo) ★★☆(who_sen)
ブラームス:交響曲第2番 
★★(oo2393oo) ★★(who_sen)

 ブラームスの2番ですが、私にとっては1番より好ましい演奏です。何よりも1番のような押し付けがましさが、かなり抑制されていて、そのためにというべきでしょうか、かえって自然に音楽が流れ、豊かさと清冽さに満ちています。終楽章のコーダも金管の盛り上げが生々しくピタリと決まっています。しかし現在の宇宿さんなら、もっと緻密で奥深い演奏が可能ではないでしょうか。
 モーツァルトの40番ですが、造形はあくまで厳しいのですが、先日の紀尾井ホールでの演奏のような、デモーニッシュで闘争的な面は余りありません。それだけに素直にこの曲の哀しみに満ちた美しさを味わえる演奏であると考えます。(oo2393oo)

 モーツァルトの交響曲40番は、歌うような優美な演奏というよりも、カチッとした造型と鋭敏なリズムに裏付けられた厳しい演奏。今まで実演で聴いた印象も総合してみると、宇宿モーツァルトの一つの典型かもしれない(もちろん全く別のパターンも持っているのだが!)。けれども不思議なことにこの人のモーツァルトは、こういう厳しい演奏のほうがかえって心に沁みるような気がする。変に甘ったるいト単調交響曲など、どれほど人に伝わるものがあるだろうか、という気にすらさせる。後半楽章はそのリズムの鋭敏さもあって、見事である。
 続くブラームスの交響曲2番であるが、ちょっとくすんだような音色で支配されており、全体をほの暗さで包まれた演奏である。同じブラームスの交響曲4番のような、人生の春秋を思わせる音楽になっている。終楽章で音楽を盛り上げるところも無理がなく、CDで聴いても安心できる。(who_sen)

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宇宿允人の世界W

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」

フランク:交響曲ニ短調

1994年3月7・8日 東京芸術劇場

宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」 ★★(oo2393oo) ★★(who_sen)
フランク:交響曲ニ短調 
★★(oo2393oo) ★★(who_sen)

 フランクですが、きわめて燃焼度の高い演奏です。しかし、ブラームス1番と同様に、押し付けがましさが強く、正直聞いていて疲れてしまいます。もっとも、リズムや音楽のバランス・造形はブラームスの1番(CD)よりはしっかりとしていると思います。2楽章は多少リラックスして聞けるのですが、それでも、もっと審美的で静謐な美しさを求めたい気持ちになってしまいます。
 ロミオとジュリエットも同様なスタイルの演奏ですが、フランクほどの強引さはないようで、私は比較的好きな演奏です。(oo2393oo)

 フランクの交響曲ニ短調は、冒頭からきわめて重厚な演奏。情念を表に押し出すような表現であるが、スタイルとしては特に強烈な特徴があるわけではなく、割りとオーソドックス。特に1楽章で情念の呻きは素晴らしい(この曲はこれが乏しいとあまり面白くなくないのかも知れない)。2楽章は哀愁を帯びた美しさがある。流れに柔らかさがあればもっと良かったろうとも思われるが、決して悪くはない。ただ、この演奏のチャームポイントは男性的な両端楽章にありそう。
 幻想序曲ロメオとジュリエットは、その沈鬱とした響きにおいて優れる。情念の表出といい、演奏スタイルが割りとオーソドックスであることといい、フランクとほぼ同路線の演奏。(who_sen)

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宇宿允人の世界X

シューベルト:交響曲第8番「未完成」

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」

1994年9月14日 東京芸術劇場

宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

シューベルト:交響曲第8番「未完成」 ★★☆(oo2393oo)  ★★☆(who_sen)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 
★★☆(oo2393oo)  ★★(who_sen)

 未完成は、オケのバランス、アンサンブルの精度も高く、ヴァイオリンの響きも大変美しいものです。しかし、盛り上げるところでは、確信に満ちた響きで強奏します。個性的な演奏というよりは、大変オーソドックスなスタイルと考えます。
 運命は、これまで出た3種のCDでは、一番好ましい演奏です。3種のCDは、そのコンセプト自体に大きな変化はないようですが、その中では、この94年盤の演奏が一番迫力があり、とりわけ金管の鳴りっぷりがよく秀逸です。やはり、運命は迫力のある方が好ましいと考えます。それから運命の動機については、宇宿さん特有の独特な思い入れはあるものの、それを除けば全体として極めてオーソドックスなスタイルの演奏です。(oo2393oo)

 運命は現在までにCD化(テープ・レコードを除く)された運命3種のなかで、技術面で最高の演奏。全てのパートでバランスが良く、一音々々が上手く融合しながら、音の粒が埋もれたりつぶれたりすることがない。金管は良く鳴っており、音色にも精彩があって良いが、それでも各パート間のバランスはあくまでもウェルバランス。アンサンブルも安定している。冒頭の運命の動機は宇宿さんにしてはややおとなしめだが、ベートーヴェンらしい重厚感や迫力に不足感はない。ただ味わいの深さは02年8月のものが優れ、その点でこの94年のものは一歩譲る。
 未完成はさらに文句のない出来。あくまで正統的演奏で、万人にお勧めしても間違いのない演奏。(who_sen)

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宇宿允人の世界Y

モーツァルト:「後宮よりの逃走」序曲
モーツァルト:交響曲第25番
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

1994年5月12日(序曲)
1993年6月17日(モーツァルト25番)
1994年9月14日(新世界) いずれも東京芸術劇場
宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

モーツァルト:交響曲第25番 ★★☆(oo2393oo) ★★(who_sen)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 
★☆(oo2393oo) (who_sen)

 モーツァルトの25番は、40番と同様デモーニッシュで闘争的な側面は抑制されています。堅固な造形ときびきびとした音楽の流れが特徴的であり、モーツァルトのCDのなかでは、ハフナーについで見事な演奏だと思います。
 新世界ですが、かなりテンポを揺らしています。どちらかというと、主情的な演奏と思われます。ただ、曲想の違いからブラームスやフランクのような押し付けがましさはほとんど感じられませんが、造形が明確さを欠き全体的に生彩のない演奏になってしまったようです。ただ、その中では、2楽章が大変しみじみとした憧憬に満ちた美しさに溢れていて印象に残りました。(oo2393oo)

 モーツァルト交響曲25番は、全体に冴え々々とした響きに彩られた演奏。1楽章はやや闘争的な性格の演奏。音作り自体は大きく羽目をはずす感じはなく、割りとまともである。2楽章以降は、その毅然とした表情が素晴らしい。しなやかさ基調の小ト短調像とは対極の演奏である。
 新世界の1楽章は早めのテンポ設定で、グイグイと引っ張る。前半は少々強引さがあり、そのためオーケストラもその変化に自然に追随できていないところがあって、ややギクシャクするきらいがある。ただ、1楽章中盤から後半にかけては良い。音楽の盛り上がり方も自然になり、かつ力感に優れる。2楽章まではまだよいのだが、後半楽章はオーケストラに疲れが感じられる。同日演奏の未完成や運命(宇宿允人の世界Xに収録)に比べ、残念である。(who_sen)

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宇宿允人Z

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」

1994年12月8日 東京芸術劇場

佐々木伸(s)、末芳枝(A)、古澤泉(T)、山崎岩男(Br)

宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」 ★★(oo2393oo) ★★〈中間楽章★★☆〉(who_sen)

 宇宿さんには、何種かの第九のCDがありますが、最新の昨年12月の演奏のCDが出たことにより、全体としては、この94年盤は存在感が薄くなってしまったようですが、例外的に3楽章については、一番好ましい演奏と考えています。 3楽章の出だしの部分を02年の12月の演奏と比較してみますと、02年12月盤では、フレーズとフレーズの間に断絶感があって、多少ギクシャクした響きになっています。この94年盤では、断絶感がなく、スムースに繋がっています。それから、宇宿さんはどちらかというと、弱音は使用せずに、確信に満ちた響きを基調にする奏法ですが、この3楽章では、弱々しいほどに静謐な響きになっていて、それがとても魅力的に私には思われます。他の楽章が巨大でいささか身構えた攻めの演奏だけに、この3楽章は、いわば力の取れた抜きの部分ということができ、音楽に幅と多様さを加える結果になったと考えています。(oo2393oo)

 全体に膨らみを持たせた温かみのあるサウンドで統一された演奏。中間の二つの楽章はとても良い。重厚さと切れの良さを伏せ持った2楽章。そして3楽章はスムースで、しかも心地よいわずかな弾力感を持ち、この演奏全体を流れる温かみのあるトーンと相まって秀逸である。ただ終楽章における合唱は精度が低く、和声感に欠けて精彩がないのが残念だが、オケのバランスはよい。終楽章冒頭でアンサンブルに怪しいところがあるが、コーダでは猛烈なせり上げの中でもほとんど崩れを見せない。(who_sen)

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VIDEO 宇宿允人の世界

ブラームス:交響曲第1番

リハーサル風景、インタビューほか

1995年4月19日 東京芸術劇場

宇宿允人指揮、フィルハーモニアTokyo

ブラームス:交響曲第1番 ★★(oo2393oo) ★★(who_sen)

 これは、CDの録音から3年後の95年のリハーサル付きの録画です。これも極めて燃焼度の高い熱血演奏なのですが、3年経過しているということもあるのでしょうか、1楽章もリズムも落ち着いていて比較的よくまとまっており、全体としてみても音楽の造形もよいようです。そうした点から、この録画の方がCDより好ましい演奏と考えています。(oo2393oo)

 ブラームスの交響曲1番と、そのリハーサル風景・インタビューなどが収められたヴィデオである。92年盤のシャープさとは対照的に、豊かな膨らみを持つ低音に支えられた、量感豊かなサウンドである。どことなく20世紀的な雰囲気を感じるのも、気のせいではないだろう。明快さよりも、重量感のある音作り。金管などはよく鳴っている。音質的な重さとは別に、精神的な重さを感じさせる演奏である。冒頭のティンパニーが刻むリズムが、少し揺らぐような感じになっているのが印象的。(who_sen)

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宇宿允人の世界[

ショスタコーヴィッチ:交響曲第5番

1996年4月18日 東京芸術劇場

宇宿允人指揮、オリエンタルバイオフィル

ショスタコーヴィッチ:交響曲第5番 ★★(oo2393oo) ★★(who_sen)

 なかなかに緻密な設計で録音も比較的よく、音に透明感があります。もちろん強奏部分もありますが、どちらかというと穏やかな響きに特色がありそうです。とりわけ、3楽章の静寂な響きと中間部での血のにじみでるような切迫した表現が聞きものです。終楽章は流石に壮絶に盛り上げますが、決して羽目をはずしてはいません。(oo2393oo)

 ショスタコーヴィッチの5番であるが、1楽章は何かドロドロと渦を巻いて、言い知れぬ不安の様子をよく表現された演奏である。2楽章ではリズムが深く鋭く切れ込む。続く3楽章は物哀しさが際立つが、その哀しみは自然に発露される感じで恣意的な感じはしない。響きの美しさもあって、この演奏の中でも特に優れた部分。そして4楽章、途中リズムの刻みをもう少しスムーズにやりたかったのだろうと思われるところがあるが、傷とまではいかない。最後のクライマックスの少し手前のところで、次なる高揚を予感させるように沈潜と音を引きずり、充分に緊張感を持たせたところでバスドラムが炸裂する様は壮絶。(who_sen)

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宇宿允人の世界\

グリ−グ:「ペール・ギュント」組曲第1番、第2番

チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」

1996年11月19日 オーチャードホール(グリーグ)
1997年2月25日 東京芸術劇場(チャイコフスキー)

宇宿允人指揮、オリエンタルバイオフィル

グリ−グ:「ペール・ギュント」組曲第1番、第2番 ★★(oo2393oo) ★★☆(who_sen)
チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」 
★★(oo2393oo)  ★★☆(who_sen)

 宇宿さんの演奏では、このような小品も素晴らしい味わいがあります。大曲では、どこか厳しさや深刻さが漂っていますが、小品ではもっとリラックスして力みが取れた演奏も多いようです。とりわけ、ワルツ、メヌエット、マーチといったもののなかに、はつらつとした清新さや鮮やかさが際立った演奏が多く、これは宇宿さんが音楽のリズムを大切にし、リズムに対する卓越した処理能力を持っていることの証しに他なりません。このCDでも、そうした点を十分に楽しめる演奏になっているようです。(oo2393oo)

 おなじみの人気ナンバーでそろえた一枚。ともに造形とリズムを大切にし、音楽をしっかりと作りこんだ演奏。加えて並みではない瞬発力を持っている。瞬発力はすごいが、その一方でオーケストラの重心もしっかりしているため軽さは微塵もなく、その点でかなり凄いと感じさせる演奏である。ペール・ギュントの「朝」はすがすがしく清冽な演奏であるし、「オーゼの死」や「ソルヴェイグの歌」での哀しみは流石に宇宿さんだと思う。くるみ割り人形も素晴らしく、音楽の全体像を良く見通した好演。「トレパック」での俊敏さは聴きものであるし、「花のワルツ」も秀逸。(who_sen)

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対人地雷廃絶支援 第2回平和祈念コンサート

ベートーヴェン:「エグモント」序曲
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
栗田信生/わたべまちこ(詩):「青い星に平和の種を」
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」

2002年8月15日 大田区民ホールアプリコ
佐々木伸(s)、末芳枝(A)、佐藤敦士(T)、雨谷善之(Br)

宇宿允人指揮、フロイデフィルハーモニー

ベートーヴェン:「エグモント」序曲 ★★(oo2393oo)  ★★(who_sen)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 
★★☆(oo2393oo)  ★★☆(who_sen)
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」 
★★☆(oo2393oo)  ★★☆(who_sen)

 宇宿さんにとって、ベートーヴェンの演奏こそがもっともふさわしく、その真価が発揮されるというべきでしょう。この2枚組のCDは02年8月の大田区のアプリコでの演奏で、ベートーヴェンのエグモント序曲、運命、第九の3曲がメインとなっていて、いずれも優れた内容のものです。運命も鮮明さという点で、02年11月盤よりは勝っているようですし、第九も、全体を通してみれば94年盤をはるかに上回っています。そういう意味では、宇宿さんのベートーヴェン演奏を手っ取り早く楽しむには、恰好の組み合わせのCDであるといえそうです。ただ、最良の演奏かということになると、エグモント序曲でも、われわれは以前に実演でもっと壮絶な演奏を聞いておりますし、運命についても、94年盤にはわずかに及びません。
 第九に関しても、02年12月盤にははるかに及ばないと思われます。例えば、合唱部分を取り上げてみても、このアプリコ盤は音が拡散していてまとまりに欠けるように響きます。02年12月盤での合唱部分は、何より音に芯があるように響きます。この相違は重要なポイントだと思っています。(oo2393oo)

 「エグモント」序曲については変な力みがなく、しかし雄大さを出してくるという点で、この日の他の演奏と基本的に同じ様な方向性の演奏。序奏部においては、豊かなふくらみを持たせた重厚な低音が良く似合う。
 ベートーヴェン「運命」は、他のふたつの「運命」CDのものよりもさらに堂々たる巨きさを持ちながら、いい意味で適度に肩の力が抜けており、余裕を感じさせる。適度に力が抜けたところで、味わいにも豊かなものが出て来ていて、とても素晴らしい。リラックスしながら迫力と味を出す。ベートーヴェンの8番と並んで、粋なものを感じさせる演奏である。全体に品格のある響きで、この点でも良い。
 同じくベートーヴェンの交響曲9番は、オーケストラの響きに品格があり凛とした美しい演奏である。94年のものに比べ、オーケストラも合唱も出来が良い(と言ってもこの半年後の12月のものには敵わない)。実演で聴いた時は、音の粒がシャキッと立つような成分と、ワ〜ンと広がるように伝わってくる音とが両立した、素晴らしい響きをしていたのが印象に残っている。(who_sen)

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宇宿允人の世界]

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」

ベートーヴェン:交響曲第8番

2002年11月1日 東京芸術劇場

宇宿允人指揮、フロイデフィルハーモニー

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」 ★★(oo2393oo)  ★☆(who_sen)
ベートーヴェン:交響曲第8番 
★★★(oo2393oo)  ★★★(who_sen)

 このCDは、02年11月の録音ですが、運命ではなく、やはり8番を聞くべきCDと考えます。宇宿さんのCDの中で1曲選べといわれれば、私はこの8番を選ぶことになりそうです。格調の高さ、造形の確かさ、深い叙情という点で卓越しており、そうした意味ではより客観的で正統的な演奏といえそうです。とりわけ、1,3楽章については、これ以上の演奏はありえないのではと思えるほどです。強いていうならば、終楽章のアンサンブルの精度がもう少し高まれば、非のうちどころのない名盤になったと思われ、その点が惜しまれます。脱線しますが、02年のベートーヴェンチクルスでの演奏では、2番は音楽の完成度において、6番はその深さにおいて、この8番を上回っていたと考えています。それだけにCD化が期待されます。運命も、優れた演奏なのですが、鮮烈さという点で他の2種のCDにはわずかに及ばないようです。 (oo2393oo)

 ベートーヴェン「運命」は、冒頭のアインザッツの乱れが気になり残念なところであるが、1楽章中盤以降はオーケストラも落ち着きを取り戻し、音楽が白熱する。後半楽章からまたも乱れが生じるが(今度は低弦を中心に)、1楽章冒頭の不明瞭さと打って変わって、終楽章では切れ込みの凄まじさと鋼のような力強さがあり、岩をも砕かんばかりの演奏である。力を凝集させるスタイルの典型のような演奏。
 ベートーヴェンの8番は、造形感・様式感に良さを感じさせる演奏。だがモーツァルトのハフナーなどのときのカチッとした硬派な厳しい造形とは違い、随分と柔らかで穏やかな印象である。無理なところがないため、ベートーヴェンが忍び込ませた遊び心もよく表れている。肩の力を抜いて柔らかくまとめながらも、こじんまりとするどころか量感豊かで存在感に溢れ、実に味わいが豊かである。(who_sen)

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宇宿允人の世界XI

ワーグナー:「マイスタージンガー」前奏曲
J.シュトラウスU:「こうもり」序曲
ビゼー:〈カルメン〉組曲より
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲

1999年5月30日 東京芸術劇場
宇宿允人指揮、フロイデフィルハーモニー

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」 ★★(oo2393oo) ★★(who_sen)

 99年の演奏であり、録音は鮮明で一番よいかもしれません。 全体的に力強く確信に満ちた響きなのですが 、押し付けがましい印象はほとんどありません。プロムナードのトランペットについてはいうまでもないことですが、終曲のキエフの大門でも、冒頭は実に穏やかに開始されます。そして、じわじわと盛り上げていって、エンドで壮大なク ライマックスを創りあげるやり方です。宇宿さんは、それぞれの絵画に対応した楽想を、たんねんにじっくりと描き分けていきます。そして、それを厳格でありながらも、ごく自然体で表現しているということです。テンポも全くというほど揺らしてはいません。フランス的響きとは言えないまでも、品格のある響きではあります。ただ、ソロの部分で技量的に宇宿さんの意図に追いつけず、リズムがつまってしまったり、音が飛んでしまう個所が散見されます。フロイデに対し、私は過大な技量を期待してはいないつもりですが、この曲の場合、ソロのパーツはやはり無視できないと思われます。(oo2393oo)

ムソルグスキーの「展覧会の絵」のCDであるが、情景描写に優れ、味わいの深い演奏である。きらびやかな色彩感覚に彩られている感じというよりも、どこか土の匂いのするような、人肌の温もりのある演奏。「キエフの大門」の冒頭などは音量を押さえ気味にして奏され、一見穏やかであるがどこか厳かさを内包しているようだ。無論「バーバ・ヤガー」や、「キエフの大門」クライマックスなどは相当の迫力を出してくるが、総じてみて派手な演奏効果中心とは言えないだろう。その叙情的表現には一聴する価値が十分にあると思われる。(who_sen)

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宇宿允人の世界XV

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」

2002年12月27日東京芸術劇場

青柳有香子(S)末 芳枝(A)佐藤敦史(T)山崎岩男(Br)

宇宿允人指揮、フロイデフィルハーモニー

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付」 ★★★(oo2393oo) ★★★(who_sen)

 これは02年12月の録音で、宇宿さんを代表し象徴する演奏だと思われます。この曲の持つ人間性、巨大性をあますころなく、表現しきっているというべきでしょう。そうした意味ではイデー(理念)の際立った主情的な演奏といえると思います。ただ、そうかといって、何か特別のことをやっているわけではなく、理念というか情念だけが先行して、音楽の造形が崩れているという点は全くというほど見当たりません。そういう意味では、キチンと音楽の客観性は保たれているといえます。さて、1楽章など、その巨大な造形に圧倒させられますが、実演では、更に巨大であったように感じられました。いわば、そのすべてが、収録しきれていない点が悔やまれないでもありません。
 ただ、94年盤のところでものべましたが、3楽章には問題が残りそうです。フレーズ間の繋ぎが切れていて、ギクシャクした印象を受けてしまいます。具体的に言いますと、フレーズの冒頭を押し込むように開始し、その後は平坦な響きとなって、最後はブッツリ切れてしまっています。そう、フィンランディアの前半のフレーズの作り方とよく似ているようです。フルトヴェングラーのバイロイト盤を聞くと、フレーズ間がスムーズに繋がっていますし、ひとつのフレーズのなかでも上下に振幅があって平坦にはなっていません。要すれば、音楽に常に揺らぎがあって響きが豊かなのです。これを聞いて、フルトヴェングラーのこの演奏は、やはり永遠のものであると再確認させられる結果となりました。この両者の違いは、日本人と西洋人の呼吸感、リズム感の違いを反映したものと言えるのかもしれません。 (oo2393oo)

宇宿さんによる「第九」CD中最高のもの。シャープで切れ込みが良く、全体がくっきりと浮かび上がるかのような明瞭・明快な音作りである。低音はどっしりとしており量感にも十分なものがあるが、鈍さは微塵もなく全体を支えている。また重厚さを出すところではかなりの厚みをもって演奏されるが、過剰に音を膨らまるようなことはせず全体のトーンとの調和を図っている。内面的表現に目を向けると、これは宇宿さんの「第九」のCDの中でも特に優れたもので、壮絶なまでのドラマ性を有している(詳細は拙稿「宇宿允人『第九』CD4種、聴き比べ」に述べた)。合唱も恐れ入るほど完成度が高く、録音物で聴いてさえ精彩と迫力がある。ティンパニーも素晴らしく、また木管のソロなども良い仕事をしている。3楽章についてはもう若干の柔らかさや滑らかさがあればとも思ったが、何かの考えがあって敢えてやったことかも知れず、多言は避けておく。とかく聴くものを圧倒させる力を持った、現代屈指の「第九」名盤として大いに推奨できる。(who_sen)

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